ゲイの弁護士、内田和利さんが
毎月開催している
「ボーダーレス交流会: ナナージ」
に参加してきました。
「LGBTの人も、そうでない人も
ボーダー(境界線)を意識せずに
フラットに交流しよう」
という主旨で毎月開催されていて、
毎回何かしらのセミナー付。
7/18(土)の回は
「学校教育において性的少数者が
どのように扱われてきていたのか」
についての
ミニセミナーがありました。
この様子を感想を交えてレポートしようと思います。
この記事の目次
1970年代: LGBT=同性愛=倒錯型性非行 (問題行動)
1970年代の学校教育ではどうだったかと
いうと…
内田さんの説明では
「LGBT = 同性愛 = 倒錯型性非行」
だったとの事。
( 現在の教育内容と比べたら…うーん、びっくり! )
1970年代に現役教員をしていた人
(当時20代~50代) は
2020年現在、70歳~90代後半。
↓
↓
上記の方が
「同性愛は問題行動 (直さねば)」
「性同一障害/性別違和という概念が無い」
時代を過ごした背景を考えると、
「高齢者がLGBT理解をしない傾向が高い」
のは時代背景上自然な事なのかな…と
思いました。
’70年代に小中高校生・大学生だった人
は、2020年現在50代後半~70代前半。
↓
↓
世の中の流れが変わったとは言え
学生時代に受けた教育の影響は大きいので
「LGBTが注目される理由がわからない」
「同性婚OKになると少子化になる」
など考えるのも
時代背景上自然な事なのかな…と
思いました。
下は1970年代における学校教育での
LGBTの扱いを示した資料です。
1970年代の学校における同性愛の扱い
2002年、教科書に初めて「同性カップルも一つの家族」。では、それまでは?
1970年代は「同性愛 = 問題行動」で
社会的にも「治すべきもの・治るもの」
でした。
WHO(世界保健機関)が
同性愛を「病気ではない」と認めたのは
1990年。
内田さんの説明によると
教科書に「同性カップルも家族の一つの形」
と載ったのは2002年。
では…
それまでの日本社会ではLGBT全般は
どのように扱われていたのか気になって
調べてみました。
下は
2002年に初めて教科書に同性カップルも
家族の一つの形と載った事に関する資料です。
2002年の高校家庭科教科書
90年代・2000年代: LGBTのニュースは「ほぼ皆無」= 無視
下の表は
「新聞にLGBT関連の記事が
毎年どれくらい載ったか?」という
調査なのですが…
最初見た時は数が少なすぎて
「これ、毎月の件数だよね?」と
勘違いしてしまいました。
↑
2020年現在、LGBT関連のニュースは
個人的実感としては「かなり多く」
同性パートナーシップ制度や同性婚
などの話題が多くニュースになっている
印象があります。
ひるがえって1990年代は
(調査によれば)
10年間で1件。
(2020年の感覚からするとびっくり)
2000年代でも多い年で年6件。
2ヶ月に1件「だけ」なんですね…。
少なくとも報道機関での扱いは
LGBTは「存在しない者」同然だった
ように思われます。
↑
↑
メディアで取り上げられるかは
読者が興味を持つと思われるか
(需要がある話題か?)
が判断基準なので
社会全般として「LGBTに対する関心」
が低かった事は予想できます。


2010年代、性同一障害(性別違和)を中心に「配慮・対応」広がる
内田さんの説明によると
2010年代になって
セクシャルマイノリティに関する
文科省の通達 (先生の皆さんこうすべし)
の数は非常に増え、
7/18(土)ナナージでのミニセミナーを
聞いた限りでは全て覚えられず…
「2010年・2015年・2016年、、、と
2010年代後半はほぼ毎年のように
『こうすべし』的な通達が届いた」
とのみ記憶しています。
● ’70~’80年代: 問題行動 (非行)
● ’90年代: (ほぼ) 無視
● 00年代: 教科書に同性カップル
● 10年代: 「配慮」通達が激増
と、
特にこの10年の変化にただただ驚く
ばかりです。
教育現場までの扱いがこんなに変わったら
LGBTに関する知識や見方が
10代20代 / 30代40代 / 50代60代
それぞれで大きく違うのも当然だな…と
感じた次第です。
いずれにしても
● LGBTの地位向上に関して活動する方
● LGBTのニュースを取り上げたメディア
● 学校の現場でLGBTの事を教える先生
など
過去~現在において社会の変化に関わった
方がいたことで
「ゲイでも昔よりかは差別されない社会」
ができたんだな…と改めて思いました。
下の資料は
文科省による2010年の通達です。
2010年: 文科省、性同一障害への配慮に関する通達
制度が変わるには10年、意識が変わるのは20年?
1990年から2002年の流れ
今回の記事を書くに当たって
事実 (出来事) の時期を調べて
「何がきっかけでこんな変化が」
というのを知る機会にもなりました。
上の資料は
日本教育政策学会年報という
研究誌に載った論文ですが
この著者の視点を借りると
LGBT(主に同性愛)を取り巻く環境は
こう変化した模様です。
[1970年代]
● 同性愛者、各自バラバラ
● 学校現場では「同性愛=非行」
● 同性愛者の活動始まったらしい
[1980年代]
● 同性愛者の活動団体増える?
[1990年代]
● 「動くゲイとレズビアンの会」が
公共施設の利用を禁止された事への
裁判が7年かけて結審
[2000年代]
学校教育で同性愛カップルが登場
特に
「動くゲイとレズビアンの会」の裁判が
1991年に開始→1997年に結審、
それが2000年の
人権教育及び人権啓発の推進に関する法律
に結び付き、
ダイバーシティの流れの中で
LGBTの話題が増えて行ったのが2010年代
後半だと思うと、
制度が変わるのに10年
社会(の意識)が変わるのは20年
かかるんだな…と何となく思いました。
長生きしたくない僕としては
13年後~17年後くらいの間に
交通事故か災害に巻き込まれて事故死
(即死) するという人生計画なので
どこまで変化を体感するかわかりませんが
生きている期間は
社会がより良くなる方向に向けて
何かしら行動しようと思いました。
↑
( LGBT関連とは限りませんけど。
環境保護とか貧困対策も含めて何か )

まとめ
2020年7月18日(土)
ボーダーレス交流会「ナナージ」で
ミニセミナーとして
「学校教育とLGBT」が取り上げられ
感想をまとめました。
ナナージは現在オンラインで
毎月1回 (土曜11時~12時半)
開催されています。
● LGBTの方
● LGBTで無いけれど理解したい方
● LGBTなのかぼんやり悩み中の方
どなたでも
ボーダーレスで参加大歓迎です。
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